山岸 俊男「安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方」
日本人はアメリカ人よりも個人主義など,一般通念で言われていることに対して筆者たちが10数年かけて実験,研究を積み重ねてきた集大成. 他にも「男女差別が生まれる」訳や「正直者がバカをみる」など今まで個人の心の持ちようと見られてきたものが,社会の構造の要因が大きく関わっているということを示しています. 統計学のトリックを見破るものではなく,社会構造の仕組みを実験の意図とあわせているので説得力があります. 大学の偏差値と一般的信頼の平均値など斜め読みをすると短絡的な帰着になりそうなテーマが多いですが,柔らかい書き方が粘り強く読ませてくれます. ぎすぎすした社会からの解放は個人の心の持ちようというよりも社会の枠組みを変えて行く必要があるようです.
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