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2008.06.11

さだまさし「茨の木」

師匠さだまさしの小説第4弾です.
舞台は突然届いた父の形見のヴァイオリンの作者を求めてイギリスがメインです.
今回のモチーフは元々,さださんご自身のヴァイオリンのルーツを探す旅からきています.(ドキュメンタリーとしてテレビでも放映されていました)

タイトルの茨の木ですが,この木は向こうの田舎へ行くとよく見かけます.小さな白い花を咲かせていて大きな木が多いのですが,安易に近づくと刺があるので気をつけなければいけないやつです.そういえば同じ科であるバラも日本に比べると大きな木が多いと思います.
本書のラストシーンははじめに描いていたのかもしれません.

小説も4作目といことで筆力が格段によくなっていて,眉山でみられた中だるみを感じさせず,スピード感があるままラストまで読み切れると思います.
過去の作品を読んでいていつも感じるのが風景の描写がとても気持ちよく感じることです.
今回は私も出かけたイギリスの田園風景がつらなりますが,光,風,水といった描写を思い出させてくれます.
さださんのテーマでもあろう,生と死(病気),愛,時間,人の心などが織り交ぜられています.

さださんの小説を読んでいて面白いというか興味深いこととして,歌詞のフレーズがちりばめられていることです.例えば今回だと「警戒水位」とか(他にもあったけどすぐ出てこない).さださんの詩の世界しかない言い回しがでてくるとファンとしてはうれしいのではないでしょうか.

ちょっと残念なのは最後のオチかな.収まるところに落としすぎたというか,真二が割り切りよすぎている感じが否めないのですけどね.そうしないと先生の想いを前半にあれだけ書いているのが繋がらないと思うんですが.

映画化するなら父,兄,先生の「茨の木」をいれるとまた趣がちがった茨の木になると思いました.
私もモチーフにもなり作品の最終舞台でもあるグラスゴーには足を運んでみたいと思いました.(来年はアイルランドに行くと思うけど)
ちなみに自分のヴァイオリンは東ドイツ生まれです.

茨の木 茨の木
さだ まさし

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