江國 香織さん、 辻 仁成さんの恋愛論です。
「冷静と情熱のあいだに」と同じ往復書簡形式で、辻さんが出したテーマで論じていきます。
辻さん自身ずるいと中で書いていますが、テーマに対して辻さんが書き、江國さんが答えるかたちなので
江國さんの方が書きやすいことはたしかだけれども、でもこれを読んでいくと余計に二人の力量の差を感じてしまいます....
江國さんの小説はいくつか読んだけど自身の恋愛論がわかりよかったです。またそれが作品に反映・影響されていることもうれしく感じたことかな。
辻さんは...のろけすぎです。離婚後の作品だったせいかいつも以上の仁成節が炸裂!!
目も当てられない感じでしたが、「鳥籠とカナリア」という挿話は秀作。実は短編が向いているのでは??
「恋は概念の破壊だから、....」
「恋におちたら、衿を正して最後までおちたい。」
辻さんがさまざまな言葉で恋愛について着飾った言葉を使って表現していましたが、それに対してシンプルでそれでいて情熱的な江國さんの言葉が印象に残りました。
繰り返し読んでみたいし、江國さんの対談集ってほかにもあるはずなので探してみたいです。
恋するために生まれた 江國 香織 辻 仁成
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唯川さんの作品です。今回の作品は短めでしたので。1.5日くらいでした。
あとがきで本人も書いてますが、ちょっと唯川さんらしくない主人公の七々子の描き方だと思います。
ストーリ、人物像ともに今回は凡庸な感じを受けます。なんでこんな風になっちゃったの?と。
おそらく原因の1つは書き出しにあるのではないかな。
好きになった彼に、すでに恋人がいたらどうすればいいのだろう。
あきらめる。嫉妬する。片思いに徹する。売り込む。奪う。
七々子がしたことは、彼の恋人、美咲と友達になることだった。
(本文引用)
確かに「どういうことだろう?」と思いながら読み進めていくのだけれども、これが逆に足かせになった感があります。
こんな書き出し自体は好きなんですけどね。
どん底の泥沼の中に落ちながら、最後には自分で前に向かって踏み出そうというところで終わったのがよかったです。そのおかげで読後に多少充足感が得られるかな。でもいつもの唯川節ではなかったのが残念。
「愛しても届かない」というタイトルは悲しいなと。
「愛しすぎることは愛さないことと同じ」という言葉があるように、愛するほどに遠ざかってしまうものがある。
そんなことを考えてしまいました。
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2005/07/12
サブタイトルが大石内蔵助と書いてあったし、表紙の挿絵も忠臣蔵の絵だったので「忠臣蔵?読んでみようかな」と思って手に取ってみました。
いままで忠臣蔵はTVのドラマくらいしか見たことないし、本もまだ。
今回、池波の本書を読んでビックリ!
「大石ってこんな人だったの!!」「こんな人がいてもいいのだろうか」
多分、主人の浅野内匠頭があのような事件を行わなければ、歴史に名を残す人物ではなかったんでしょうね。
ミスはなかったろうが名声を得るまでは行かない、(よい意味で)凡国家老。
端はしに内蔵助というか正太郎語録が散りばめられているのもまたよい。
「人というものはな、食べてねむって、ほどよき女を抱いて暮らすことが、万事なごやかなにはこべばそれでよいのだ。つきつめて見ると人の一生とは、それだけのものよ」
「人は生まれたその時から、死にむかって歩いている・・・人間の世で唯一わかっていることは、いつか死ぬる日がくるということよ」
堀部安兵衛との邂逅も内蔵助側から見るとなんと自然なで偶然な出会いに感じてしまうか。
だが内蔵助ならそんな出会いもあるだろうと感じさせてしまうところに池上の力量があるのだろう。
まさに読後・読中にタイトルの意味を知ることができる大石内蔵助の小説である。
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2005/07/11
TOPPERS/JSP 1.4.1のビルドで再度のchkでエラーになるケース(GCC3.4とかGCC4系)が増えてきました。
h8300-hms-objcopy -O srec -S jsp.exe jsp.srec
../../jsp/cfg/chk -m jsp.syms,jsp.srec \
-obj -cs jsp.chk -cpu h8 -system akih8_3069f
Program failed in its process by following reason.
Internal error: Unknown symbol (Probably, Symbol table was stripped)
make: *** [jsp.exe] Error 1
同様の問題がTOPPERSの users ML( toppers-users 1969)のツリーに出ています。
kernel_cfg.oで_checker_magic_numberのシンボルが削除されていること
が原因のようです。
staticを外して外部結合にすれば解決しました。
というわけで、make dependした後に書き換えましょう。
ちなみにmake cleanすると元に戻るので注意です。
1.4.2では直ってくれると嬉しいなと。
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2005/07/09
ほかに自分がMTで立てているところのバージョンをアップしてみました。
ロリポップを使用しているのですが、テンプレートしかいじっていないので、「MovableTypeで行こう!」さんの記事どおりで作業できました。
バージョンアップははじめてですこし怖かったのですが拍子抜けするくらい簡単でよかったでした。
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村山さんのすばる新人賞作品です。
けして短い小説ではないのですが電車の行き・帰りだけで読んでしまいました。
自分のことを「僕」と呼ぶ歩太が1人称で書かれていて主人公なんだけれども、やっぱり春妃なんじゃないかって思います。
歩太が一歩ずつ春妃のことがわかってくるにつれて、春妃の雪で閉ざされていたような心が少しづつ溶け出してくる。その様子が読み手をぐいぐいと惹きつけます。
冷静に考えるとカウンセラーである春妃はミイラ取りがミイラになってしまったという結果になったわけだけど、カウンセラーになるきっかけが本人自身が抱えていた心の悩みを解決するためだと設定には大いに考えさせられます。
映画化にもなるようなのですね。
タイトルの天使の卵はクリスマス・イブに歩太が春妃に渡したピアスだけれども、未来天使のものなのかな?
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2005/07/08
PC Watchの山田祥平のRe:config.sysはいつも見ています。
山田さんの話はいつもコンピュータの違った切り口を提供してくれるので私にはとても新鮮に感じます。
今回のディレクトリツリーの森の中では最近のデスクトップ検索からの内容なんだろうが、
階層化構造はというのは元々ファイルシステムの構造からきている問題だろう。
いまのパソコンの性能からすればファイルシステムうんぬんは関係なく、その上にUIをかぶせてツリー型のファイルシステムを隠蔽することは可能だけれども、ユーザがそれに慣れるのか移行できるかが問題だろう。
ネットワーク型のファイルシステムを持つOSとして唯一と言っていいだろうBTRONがある。
使うとわかることなのだが、自分たちが如何にいままでファイルを階層化構造で分類してきたかがわかる。
そしてその制約や束縛から解放されることがどんなにすばらしいことかがわかってくる。
ただしBTRONの残念(不幸?)なのはあまりにも自分の頭の思考がファイルのリンクに反映されてしまうため、
少々のファイル数では検索自身をあまり必要と感じないことにある。
デスクトップメタファーの変化が起こることを期待している人は多いが、メタファーの変化・変更はPCの終焉を意味するのではないかとも思う。
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2005/07/05
以前に読んだ上意討ちの中の「色」は土方歳三であったけど、今回は近藤勇が主人公である。
いままで新撰組についてあまり知識を持っていなかった(さらに坂本竜馬を斬ったという間違った(?)知識...)
のでなぜ新撰組が作られてどのように幕末という時代の流れの中を過ぎていったのを感じることができてとても新鮮だった。
土方が「色」ではかなり情の厚い人間として捉えられていたが、本書ではかなり冷酷にも感じられるが
それが余計に新撰組の悲壮感を感じさせている。
私にとっては幕末物をさらに読んでみたいと感じさせる1冊でした。
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